3.RとH

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「今すぐ、龍戌制度を撤廃しろ!」 「俺たちの自由を返せ!」  至るところから声が上がる。その声は次第に大きくなり、騒音となって辺り一面を包み込んだ。  機動隊は緊張感を高めた。さすがに火炎瓶などを投げる人はいなかったが、一触即発の空気が充満していた。  ここにいるはずなんだけど。  私は騒音に耳を押さえながら、異様に興奮し始めた集団に目を凝らした。  見渡す限りの人・人・人。方々に聞こえる雄叫び。ライブ会場にいるみたい。これ、正直な感想。  結局、諦めた。  とても探せる規模ではない。  私は探すのをやめ、しばらく様子を見守った。どういう結末になるのか、興味があった。  集団の喧騒はしばらく続いた。  ただ、それだけだった。  違う場所では機動隊とデモ隊がぶつかって、怪我人や逮捕者が出ているニュースを見たことがある。  規模は大きいが、ここではそこまではしないようだ。小池くんの想いを汲み取っているのかもしれない。
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