4.揺れる想い

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「で、どうしたの?龍人の中のエリートさんが」  石嶺さんが車に寄りかかりながら聞いた。 「石嶺さん、デモに参加してるんでしょ?」  私は単刀直入に聞いた。 「だったら、何なの?」  何なの?ったって、別に何もないんだけど。 「龍戌制度、反対なんだ?」  私は質問を質問で返した。 「人を人として見ない制度なんて、私は無意味だと思ってる」  石嶺さんが答えた。  石嶺さんだって、上級の龍人なのに。その恩恵に授かりながら、学校生活を送ってきたはずだ。 「龍人として扱われても、私を人として見てくれる人は誰もいなかった」  ずきりと、胸が痛む。石嶺さんの高校時代を知ってる者としては。 「ただ1人。小池くんだけは違った」  石嶺さんが昔を思い出しながら、語り始めた。
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