4.揺れる想い

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「私が重い荷物を抱えて苦労している時も、誰も助けてくれなかった。でも小池くんだけが、そんな私に気づいてくれた」  そんなことがあったんだ。知らなかった。 「彼は素行が悪くて、周りからは乱暴な人だと思われてたけど、私には優しかった。私は彼の力になりたいと思った」  なるほど。  もしかすると小池くんは、その頃からこの計画を考えていたのかもしれない。1人でも多くの仲間、特に龍人の仲間を探していたのかもしれない。  そういうしたたかなところがあったもんな、小池くん。石嶺さんも薄々気づきながらも、敢えて気づかない振りをしていたのかな。協力したい一心で。 「私は彼と同じ大学へ行った。そして、彼が立ち上げたサークルに入った。そして、この話を持ち掛けられた」  上級の龍人がサークルに入ったとなると、周りの見方は変わるだろう。本当に龍戌制度のないサークル。そういったものができたと知ると、人気も知名度も上がる。  うまくやったな、小池くん。
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