5人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
だれもいない。
「部長呼んできて、早く!」
「は、はい!」
焦るような言葉とは裏腹に、敦美先輩の声は興奮している。確実に面白がってるでしょアンタ、と呆れつつ私は図書室へ向かった。今日の部長はパソコン室ではなく、そっちで調べものをすると言っていたはずだ。
新聞部の部室を出る時、私はちらりと後ろを振り返る。テーブルの上では、平仮名や鳥居が書かれた紙が広げられ、十円玉に指をくっつけた二人の女の子が泣きそうな顔をしていた。
――もう、ばっかじゃないの。
見ていて何もしなかった立場とはいえ。それでも私は思わざるをえなかった。
――そんな顔するくらいなら、こっくりさんなんて馬鹿やるんじゃないっつの。
最初のコメントを投稿しよう!