だれもいない。

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だれもいない。

「部長呼んできて、早く!」 「は、はい!」  焦るような言葉とは裏腹に、敦美(あつみ)先輩の声は興奮している。確実に面白がってるでしょアンタ、と呆れつつ私は図書室へ向かった。今日の部長はパソコン室ではなく、そっちで調べものをすると言っていたはずだ。  新聞部の部室を出る時、私はちらりと後ろを振り返る。テーブルの上では、平仮名や鳥居が書かれた紙が広げられ、十円玉に指をくっつけた二人の女の子が泣きそうな顔をしていた。 ――もう、ばっかじゃないの。  見ていて何もしなかった立場とはいえ。それでも私は思わざるをえなかった。 ――そんな顔するくらいなら、こっくりさんなんて馬鹿やるんじゃないっつの。
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