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「茶髪の君は?」
ヤマトはレイの顔を見て尋ねた。レイは少し緊張しているようだが、場の雰囲気が一度変わったこともあり、緊張は和らいでいるみたいだった。
「俺はレイ・ウォルト。レイって呼んでくれ。ヤマトとは仲良くしたんだ。ね、桐塚君のことも知りたい。俺に色んな事を話してくれる?」
緊張しているのかと思いきや、かなりリラックスしている様子だった。それどころか、レイはナンパでもするかのよに優しく詰め寄る。思い出した、レイは友達付き合いは良いタイプなのだが、極度の女好きで、気に入った女性がいると所構わずナンパしまくるのである。レイ曰わく中学生の頃にアソコの初体験は済ませており、高校生の今、かなりの熟練者とのこと。ごめん、ちょっと余談だった。
レイは机に肘を乗せ、前屈みになり、じっとヤマトと桐塚を見つめる。ヤマトは足を組んだまま、レイを見つめる。桐塚は無反応だ。まさか、男相手に色仕掛けでもする気か?
「例えば、何について知りたいんだ?」
ヤマトはこの状況を面白がっているのか、試すように質問する。ヤマトの問いに答えるように、レイはまるで紳士のように微笑んだ。
「んー…、思わず一目惚れしてしまうタイプについて教えてくれるかい?」
「直球だな。」
ヤマトは鼻で笑うものの、顎に手を当てて、思いのほか真面目に考えている。ヤマトを慕っているダニエルは、レイの方を見て表現しがたい顔をしている。
「…そうだな。面白い奴は、思わず見てしまうだろう。」
ヤマトは目を薄くして答えた。多分、当たり障りのないことを言っているのだろう。それとも、ヤマトもこういう質問をされることが楽しいのだろうか。いや、こんなに男前ならば恋愛は事足りているはずだろう。
「なるほどね~。桐塚君は?」
レイが桐塚へターゲットチェンジする。桐塚は薄い反応しかしないのでは、と思ったのだが、ヤマトが手を一瞬だけ小さく挙げると、桐塚は口を開いた。
「私が気になるタイプは、絶対的な力を持ち、この世の王と言われても過言ではない風格を持って、何よりも深い慈悲と愛を持って全ての方に平等に接し、聡明で美しく、富と名誉があり全ての闇に光を照らしてくれる方です。」
早口言葉のように息継ぎ一つせず答える桐塚にレイは予想外だったのか、たじろいだ。ヤマトもその様子を見て口角を上げている。どうやら、ヤマトと桐塚はレイを撃退したようだ。
「そんな子…この世にいるのかい?」
「います。」
はっきりと答える桐塚に余計に困惑したのか、レイは目を泳がせる。ヤマトはそんなレイを見て笑うと、話を切り上げた。ヤマトはどうやらそこまで長く人を弄らないタイプの人間らしい。
「まぁ、そんな所にしておけ。」
ヤマトが場を落ち着かせる。
「それで、赤髪の君は?」
当然のことながらも、ダニエルに視線が集まった。
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