3月の雪

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「はぁ。」 今日も布団に潜り込んでため息をつく。 右手には相棒の使い込んだスマホ。 結婚してから専業主婦になった。 一応、社長婦人だ。 だが、 昔は得意だと思っていた家事がまるで出来なくなっていた。 原因はいくつか思い当たるが、 一番は、旦那が何でも出来ちゃう男性だということだろうか。 社長業、副業に加えて、買い出しから料理、 掃除機や細かな掃除や洗い物までしてくれる。 してくれる前にしないと、いけないのだ。 理解ってはいるけれど身体が動かない。 だって、、 前の8年付き合って婚約破棄した彼とは違い 放っといても全て出来上がってくるのだから。 かつ、心の底からわたしを愛してくれている。毎日毎日5年間、欠かさず、好き、可愛いと連呼してくれる。 そうなると、怠けというか、甘えてしまう。 何度も自立しようと、バイトをしようとしたがうまくいかない。 それでも笑って許してくれる旦那。 今も所属しているバイト先はあるが休みがちでまた辞めそうだ。 お金の面では困ってない。というのも大きかろう。 彼としては家計を一緒に支えてほしい。という思いは多少やはりあるようで、気持ちには応えたいとは思っている。いるが… この間、3月の私の誕生日に、 改めて、二度目のプロポーズをしてくれた。 訳あって一度目はわたしの納得いかない形だったからだ。 旅行ばりの懐石料理屋さんにて。 誕生日ケーキと花束のサプライズまであった。 『誰よりも何よりも愛している。 これからずっと死んでも守るから、大切にするから、結婚してください。』 やはりとても嬉しかった。 この人と一緒に頑張ろうってその時は思えた。 おしどり夫婦になろうね、なんて約束もした。 こんな素敵な場所に毎月でも連れて来れる男になるから!とも言ってくれた。 本当に即行動の社長気質な真っ直ぐな立派な性格の持ち主だ。 普段も常にニコニコしていてくれる、とても優しい自慢の旦那。 私に相応しい。 ……1番好き合っている人は置いておいて。 結婚は、2番目に好きな人とするもの。 とは本当だと思う。 この話はいつか別の機会に。 そんな素敵な一生の思い出から数日後の今日。 3月も下旬なのに、大雪が降った。 布団で丸くなるわたしに起きてよぅ、と言ってもきかないわたしに嫌気が差して出かけてしまった。 でもそのあとすぐにラインで写真を送ってくれた。 3月の雪。と返したら、 昔のわたしなら即座に1本書いていた。 と言われた。 たしかに。 ここ最近、数年、 小説家になりたいくらいだったわたしから執筆活動すら無くなった。 生きる熱量があからさまに下がってしまった。 今や、あれほど自慢げに並べ立てられた趣味や好きなことが何一つ興味も持てないぐーたら人間に成り下がってしまっていた。 しかし、 この雪を眺めていたらふつふつと底の方で 僅かながらに昔の書きたい欲が芽生え出したのを感じた。 ここまで、 久々に立ち上げたPCの更新が遅いせいでスマホで 一気に書き殴っている訳だが、やはり文章を書くのは好きだ。スラスラ書ける。 なんでもいいから1日1本更新するんだ! と言われた。 そんな事から始めてみようかな、なんて 少し生きる活力が湧いた。 そんな、春の雪の日でした。
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