死神人生相談 はじめました。

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「それでね、2つ目の相談は、ぼくの命の長さが、残り何年なのかを知りたいんだ」  ハニートーストの山を半分までおなかに入れたところで、フォークとナイフを置いた。  人生100年とか言われるようになってきたらしいけど、お父さんとお母さんの命はたった36年間しかなかった。  二人がどこへ行ってしまったのかも、小学校1年生だったぼくには分からなかった。大切な人がこの世界からいなくなる意味も。  それにお父さんとお母さんは、まだ近くにいるような気がしていたから。 「それを知って、君はどうしたい?」 「ぼくは長生きをして人を助ける人になりたいし、これからもハニートーストを食べたいけど⋯⋯でもお父さんとお母さんのいるところに早く行きたいって気持ちもあるんだ」 「それは二人に会いたいから?」 「だってさびしいよ。おばあちゃんもいなくなっちゃったら、ぼくはひとりぼっちだよ」 「(さび)しいからいつもこの店に来ているのか」 「ここにはゆかりちゃんがいるからね」
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