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 数日経った。  投稿サイトの訪問者数累計は、一日に一人ぶんずつ伸びていく。サイトのシステム上、ただ読まれているだけでは、相手のアカウントはわからない。つまり、同一人物が毎日来ているのか、別々な読者が現れては去っていくのか、こちらから識別することはできない。  IPを割った。IPアドレスの特定の仕方は叔父から教わったことで、罪悪感は全くなかった。  福岡市早良区。ホームルーター。プロバイダの社名もわかったが、そういうのはどうでもいい。  十二桁のアドレスは、どれも同じ文字列だった。  誰かが、俺の作品を毎日読みに来てくれている。  胸にこみあげてくるものがあった。  誇りだとか、安堵だとか、報われたという思いだとか、いろんなものがいちどきに湧き上がってきたのだった。だが驚いたのは、それらの感情の中に、感謝が混じっていたことだった。  俺の読者になってくれてありがとう、と、人に感謝したことなどない彼が、初めて、泣きたいほどの気持ちでそう思ったのだった。
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