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図書室の共用PCで、投稿サイトの自分のページを開いていた。
今まで書いてきたものを、最初から読み直している。
自信はあった。絶対に面白いと思って書いてきた。だが、改めて固定読者について考えだすと、何がうけているのかわからない。IPは割れても、そういうことまではわからない。
十二桁の文字列はあくまで記号で、いつまで見つめていてもそれが人間の顔になることはなかった。
不意に、けたたましい笑い声が響いた。
そういえば、さっきから五、六人の男子が固まって何かしていた。
「痛え、いってえ!」
一人が叫ぶ。残りがどっと笑う。貸出カウンターを見た。
気の弱そうな図書委員が呆然と固まっていた。
ログアウトし、立ち上がった。頭の悪そうな男子生徒。卒業したら、二度と会うことのなさそうな奴ら。
「邪魔だよ。おまえら」
「ぁあ!?」
「ここはおまえらの遊ぶとこじゃない」
「何よこいつ? 何言っちゃってんの?」
「おまえこそ邪魔なんだよ。首つっこんでくんな。すっこんでろ、チビガキ!
」
どん、と押しのけられた。後ろざまに転んだ。頭の芯のあたりで、何かに火が付いた。
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