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 俺は、七歳で孤独な身になった。  父も母もいたけれど、何よりも大切だった家族は、ある日吸血鬼に殺されてしまった。  吸血鬼は化け物だ。  強靭な体と高い回復力で、生き続け、たやすく人を殺してしまう。  そんな恐ろしい人外の化け物が、ある日、俺の日常を壊してしまったのだ。  その日から俺は、吸血鬼を殺して回る事を夢に見るようになった。 「父さんと、母さんの仇は、俺が絶対にとってやる」  そして、どうすれば強くなれるか考え続けていた。  子供だとか関係ない。  無力なのは立ち止まる理由にならない。  憎き吸血鬼を殺せるくらいになるために、様々な事をした。 「とりあえず、強い奴の元を訪ねていこう」  良い案が思いつかなかったので、国で有名な者達を探し回る事になった。  各地、各大陸で、相手の元を訪ねる。  けれど相手にしてもらえなかった。 「身寄りのない子供を弟子に? そんな余裕はこっちにはないよ。遊びじゃないんだ。帰りな坊主」  俺の様などこぞと知れぬ子供を育てる余裕はないそうだ。  俺はすっかりやさぐれていた。
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