01

3/9
前へ
/9ページ
次へ
 教えてもらえないなら、一人で強くなるしかない。  そう思って自力で修行に励んだけれど。  一人で考えられる方法は穴だらけだった。  うっかり猛獣の巣で死にかけたり、訓練の不注意で大けがを負った事がある。  とてつもない猛獣に追いかけられた事もあった。  もはやこれまで、そう思った事もあったが。  死にかけていた場面で、通りがかりの人間に助けてもらう事ができた。  運が良かったのだろう。 「ほう、ボウズのくせに、度胸だけはあるみたいだな。よし、気に入った。俺の弟子になれ!」  しかも、その人物は、俺を弟子にしてくれるといった。  どんな有名な人間なのかと思ったが、相手は名乗らない。  しかし、そんな事はどうでも良かった。  自分を応援してくれる存在が嬉しかった。  それに、訓練もちょうど限界を感じていたところだった。  だから名前が分からなくてもそれでもいいと思った。  その日から俺は、新しい師匠の元で修行する事になった。  師匠の仮の名前はダッシュビー。  名前がないと不便だからときめた偽名だ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加