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番外編
【栄之助と憲一】
ここは、北川総合病院 特別室
担当医 北川 康介院長
「 体調は、如何ですか? 」
栄之助
「 あぁ。 随分と調子はいいなぁ。。」
声が掠れている。 ゆっくり話す栄之助。
「 なあ。康ちゃん。 息子には、絶対に
云わないでいてくれよなぁ。
バカヤローだから、 絶対、一人で泣くから
さあ。」
康介
「 栄ちゃん。。 お前は、、お前だってバカだ
な。 分かってらぁ。 風邪にしてるょ。」
栄之助
「 ははは。 似たようなもんだわぁ。。 」
康介
「 親父かぁ。 すっかり親子だよなぁ。
そっくり! 笑笑笑笑笑笑。 」
栄之助
「 ははははは。 似てるかぁ? 」
照れながら話す栄之助がいる。
康介
「 初めて会った時から親子かと思った。 」
栄之助
「 康介にはさぁ。 本当に世話になったぁ。」
康介
「 お互い様だろぅ。 」
そこへ。
憲一と妃香里がやって来た。
「 父ちゃん! 診察かょ。 康ちゃん先生!
お世話になってます。」
憲一は妃香里の手を離すとゆっくり頭を下げた。
穏やかに優しく微笑む院長。
「 な? 憲一は栄之助にそっくり。笑」
妃香里
「 先生、お父様 何か飲まれますか? 」
康介
「 お?! じゃ、お茶。 四人分!! 」
妃香里
「 !! あははは。了解です。 」
妃香里は、一人部屋からでた。
院長
「 あ? こんな時間だ。 回診がまだ残って
た。行ってくる。 」
院長先生もゆっくりと部屋からでた。
憲一
「 親父! σ(゚∀゚ )オレ ちょっとトイレ行ってくる。」
栄之助
「 漏らすなよ? 」
憲一は、院長先生と二人になりたかった。。
そして、 ここは、診察室
院長
「 憲一。。 栄之助は、、、風邪だ!!
ちょっとね。やっぱり、歳だからさ。」
憲一
「 先生。。 血は吐かんでしょ?
大丈夫。 話してください。
親父がどんな体調か流石に。風邪は嘘。
俺、妃香里が居るからさ。 負けないから。」
まっすぐに見て淡々と話す憲一が居た。
康介
「 絶対に秘密だぞ? 約束出来る?
栄之助にバレたりしたらさ。。可哀想だ。」
ゆっくりと頷いた。
康介先生は、分かりやすく話してくれた。
流石に、、、 ショック だった。。
康介
「 栄之助には時間が無い。 分かったか?」
憲一
「 はぃ。 」
今、大学四年。。。 卒業迄。。。 ぎりぎりか。。。
康介
「 やってあげたい事があるなら今だ。
話したい事があるなら今!!
今! 大切にしないと後悔するから。。
大事にしてよ。 家族の時間を。。 」
憲一
「在宅で看るとか出来ないっすかね? 」
康介は頭を振った
「 あの部屋に居たいんだって。
僕は、栄之助の気持ちを尊重したいな。」
憲一
「 我儘を申しわけありません。 」
在宅看護。。本当なら勧めたい。。けど、、、
たぶん、親父は知ってしまったσ(゚∀゚ )オレに
気を使うはずだ。。 知らない振りをする!
俺は出来る限り通うことにした。
栄之助
「 ウンコか? 偉い長えなあ。 」
妃香里
「 あはははははは。 もう! 栄ちゃんも
憲ちゃんもそーっくり!! 笑笑笑」
妃香里が父ちゃんの背中をゆっくりとマッサージ
していた。。。
憲一
「 ウンコだよ。。 スゲー スッキリした!
父ちゃん? いつまで居るのさ?
早く帰って来いよ。 めんどくせーからさ。」
栄之助
「 あははは。直ぐに帰らあ。。
せえせえすらあな。 偶には。いい。」
妃香里
「 栄ちゃん。何か食べたいものあったら
云って。 何でも用意する。
早く良くなれぇ。 」
栄之助
「 妃香里。 ありがとうなあ。 」
何ともない、会話ばかりの日々。。
栄之助
「 妃香里。倅はバカヤローだけど、、、、、。
側に居てあげて。。 それだけでいいから。」
妃香里
「 あははは! 任せて!?
憲一と栄ちゃんは私が面倒みるわ!!」
栄之助 憲一はびっくりしながら
「 た。。 頼もしぃ 👏👏👏👏」
タイミングバッチリだった。 笑った。。。
栄之助は何ともない普段通りの会話。。。ばかり。
憲一の大学卒業の 佳き日に。。。。。
とても穏やかな顔をして天寿を全うした。。。
特別室には 渡他、幹部の人達が勢揃い。。
憲一が到着した時。。渡は人払いして。。。
静寂とした病室。。。
憲一の隣には妃香里が居た。。手を繋いで。。。
渡
「 挨拶。。 だな。。 」
渡も静かに部屋から出た。。。
穏やかな顔をした栄之助がいた。。。
「 泣いていいかな。。 」
妃香里に抱きしめられながら俺は号泣した。。
人生で一番泣いた日。。。
あれから、、、、、妃香里は妻となってさあ。。。
爺を目標に、、、 生きますよ。。 俺はね。
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