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妃香里と憲一
ここは、デザイナーズマンションではない。
海辺から歩いて30分位の丘の上に建てた真っ白な平屋の一軒家。。
この日。。。妃香里のバースデー🎂。
憲一は、絶対に妃香里のバースデーだけは
花束を送る。
憲一と妃香里は、小学校一年生の時からのクラスメート。憲一の父親は桜庭組。若頭。隠し子だった。
先代の命を銃弾から守りこの世を去った
母親は消息不明。。。
先代が親代わりに育てた子が憲一。。
妃香里は、憲一と恋仲になったのは、高校生になってから。秘密の誰にも秘密の二人の恋だった。
妃香里は、大学を卒業したと同時に父の薦めで
お見合いをする。
そこに、現れたのが憲一。。。
その場でお見合いを妃香里は断った。。。
妃香里が初めて自分の意志を貫いた瞬間だった。
一人娘だ。。とーっても可愛くて可愛くて可愛くて仕方がない娘。。。
断腸の思いだが、鍋島で同居するなら、
ギリッギリッギリッギリッギリッぎりぎりの
思いで、頭に超くるけど、、、折れたのだった。
憲一は仕事人間。。そんな、憲一が最も大切にする日は妃香里のバースデー🎂。
今日は、3ヶ月ぶりに逢う二人だった。。
妃香里「 うわああああ。素敵だああ♡♡
覚えていたの?」
憲一「ガキの頃から聞いてりゃ覚えるよ。
何百回と、ずーっと云ってたじゃん。。笑笑笑」
妃香里「 ワリッ。。 ふふっ♡」
憲一「お誕生日おめでとうございます🎂」
妃香里に薔薇の花束を渡した。。
妃香里「 あり。。。ありっ。。
ありがとうございます。。。。。
最初で、最後かな。。。」
憲一「。。。。。ナニソレ。。。」
妃香里「 憲一君。。本当に、ありがとうございました。。 お疲れさま。。。
私の夫をしてくれて本当に、ありがとう。。」
妃香里は、結婚卒業用紙を渡した。※離婚届
震えながら、、。
憲一「。。。悩んだ、、、みたいだな。。。
だって、ほら、、、滲んでるじゃん。。。。」
妃香里「 泣くよお。。。。。
貴方を傷付けないで夫になっていて欲しかった。。
私は器も無ければ、妻大失格だよ。。。
子供の時から分かっていたのに。。。。。
好きな人を傷つけるとか有るんだね。。。
アタシを、短い間だって妻にしてくれて。。
ありがとうございました。。。」
妃香里は、憲一に深く頭を下げると
にっこり笑った。
ここはリビング。センターテーブルと、
L字ソファーがある。ソファーに置いたバックを
手に取り、部屋から出ようとした。
憲一「 行くな!! 嫌だ。。。
行かないで。。。」
憲一は、愛してる妃香里を ずーっと。
彼女は振り向きざまに憲一を抱きしめた。。
力を込めて。。
薔薇の花束が床に落ちた。。。
妃香里「違う。。違うんだよ。。。憲一君。。
私は、、幸せなんだよ。。だけど、、貴方が幸せじゃ無いじゃん。。。それが何より辛いんだ。」
憲一「。。。極道は辞めれない。まだ、引退出来ない。。だけど、妃香里を失えない。。嫌だ。
俺ね。。ゴミクズ野郎やバカ野郎共の。。。
居場所をアングラだとしたってさあ。。。。
生き抜く道は途絶えさせたくねえんだ。。。
一縷の望みが必要な奴等に光を与えたい。。
妃香里。。ごめんね。。まだ、続ける!!」
妃香里「分かった。。。分かったよ。。。」
憲一は妃香里の唇を奪う。。。
激しくも長く吸い付くように。。。
憲一は、いつまでたっても、妃香里には弱い。。
妃香里にだけは不器用過ぎる。。。男だった。。
ここは、寝室 ビトウィーン・ザ・シーツ。🍸
妃香里「。。。強引過ぎる〜。。。」
憲一の逞しい胸板の上にちょこっと頭を乗せながら呟いた。
憲一「慣れてるくせにぃ。。 だって、ムカつくから。親父さんから離婚しろって云われて、、
の今。。流石に、、腹立つ。。。
君の所が俺の居場所。、、、。。。
だけど、、、仕事が、、、ごめん。。
巻き込みたくねぇ。。。」
妃香里「 うん。。巻き込まれたくねぇ。笑
たぶん、それが貴方の気持ちでしょ?
そう思うようにしたよ。。
憲一君。。。父が、口が悪くてごめん。。
でも、心配してる。。。それが分かる。。
私は、憲一君の気持ちも分かる気はする。
真っ向から父に反発してあげれなくてごめん。
親になって分かったよ。。。
父は憲一君をきっと、認めてもいる。。。
ここ。。こっそり来ていい?
子供達にも話していいの?」
憲一「う〜ん。。。妃香里と二人の場所がいい」
妃香里「わがまま〜。。。。。」
憲一「お洒落だろ? お前だけしか知らないとか、、二人だけの秘密基地みたいで。。
いつだって、セックス出来るし♡♡♡」
妃香里「 相変わらず、、露骨〜〜〜。笑」
憲一「窮屈も我慢できる。。此処が有るなら。。
やりたい放題、好き勝手、そんな自由に働ける
ならとっくにやってる。。
そうじゃねぇ。。からさ。。。
組をデカくするとか考えた事なんか一度だってない。時代が変わる。。先代達が継承し続けた組でも時代に追いつけない組が看板を降ろしてる。。
気持ちの悪い世の中だよなあああああ。。
構成員が組み替えに来るたびに殺気立つ。。
だけど盃交わせば不思議なんだよ。。。。。
何故か静かになってゆく。。。
そいつら、血の涙を間違いなく流してる。
そんな奴等。。ほっとけるかよ。。
うちの組は絶対薬は禁止。
葉っぱも御法度。
シャブは、一度だけでも喰ったらヤメレねぇ。
んな手放せない何かを背負いながらアングラを
働かせるなんて、、それこそ地獄だからさ。。。
手を出したら、、、破門か死ぬしかねえなぁ。
そもそもそんなモンに手を出さなくたって、
根っこさえ腐って無いなら働けるはずだ。
俺がやりてえのは働く場所を確保する事。
俺が本気なのに、舎弟が薬なんかフカシテるなんてそんな奴なら死んだも同然。。。
妃香里。俺の組はさあ。薬はヤらない
草すら吸わせない。要は、我慢が出来る
理性が保てる奴等だけしか要らないんだ。
破門にしまくっても来た。。。
人を切り捨てて来た。。って事だよ。。。
大した人間でもねぇのにな。。。」
妃香里「あたし。。知ってるよ。。。
病院、買い取りしたよね。。。
抜くための、、そうゆう意味も有るんでしょう?
セカンドチャンス。。。与えてるくせに。。。
どうして、どうして、悪ぶるの?不思議だよなあ。。。」
憲一「。。。秀(若頭)に聞いたの?」
妃香里「地獄の先の光かあ。。。
どんな景色かは、、、苦しいだけだ。。。」
憲一「俺の母ちゃんは、薬漬けだったの。。
よく、、父さん(亡き若頭)に殴られてた。。。
まさかの、仲間に打たれてたとか。。。
俺はそんな世界ばっかりみてきた。。。
ガキの頃、妃香里と話したあの時間がさあ。。。
俺にとったら、普通を確認する為の時間だったんだよね。 俺んちは、普通じゃなかったから。
で、思ったの。。。
普通が何なのかを自分で掴むって。。。
この世界に居る俺の普通をこっち(極道)に持ってこようって。。ある意味、復讐なんだ。。。
だから、時間はかかる。。。諦めないよ。。
この世は 阿修羅だからね。。」
この秘密基地、一軒家は、憲一と妃香里の
愛の巣。
憲一が妃香里と二人っきりで会いたい時は、、、
ここに妃香里を必ず呼び出している。。笑笑笑
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