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なんか、俺今すっごい疲れてる。新歓が終わってから2匹の犬はなんかいつも通りうるさいし、雪に関してはハグがめちゃくちゃ多くなった。
俺もう生きてるのかもわかんないんだけど。いや楽しいのも事実よ?でもちょっと疲れが溜まったと言うか。
ぼーっと廊下を歩いていれば誰かとぶつかった。
「わっ」
「!」
尻もちをつくかと思って目を瞑っていたが、その痛みは来ずに、腰に手が回っていた。倒れないように支えてくれてるらしい。そのため合法的にぶつかった彼との距離が縮んだ。
「っ…?」
ぱっと顔をあげると、そこには見慣れた顔があった。
「あ、はやに、…………永瀬、さん」
風紀委員長、永瀬隼人がいた。
「…、大丈夫か?ふらふらしていたようだが」
そう言って顔を寄せてくる風紀委員長。近い。この人ずっと距離感バグってる。
「だ、いじょぶ、」
「……、なあ湊?」
俺の安否を伝えると永瀬さんが口を開く。
「何?」
「……もうはやにいって呼んでくれないのか?」
といつも無表情な顔が少し眉をへの字にまげて悲しそうにする。
中学に上がって名前とかあだ名で呼ぶ事が少なくなった。なんでかって言うと、なんか羞恥を感じ始めるから。これ高1の夏の時も言われた。
でもこんな顔されたら呼ばざるを得ない。別に恨みがあるわけでもないし。
「は、やにぃ...」
俺がうつむきがちにそう言うとがばっと抱きつかれた。
「っ~~…湊っ湊っ!」
嬉しそうにはやにいが顔を擦り付けてくる。痛い、痛い。
「ちょっ…永瀬さっ」
俺がそう言いかけるとぴたりと止まって、むっと膨れる。
「……はやにい、だろ」
「わ、わかったから、離して…」
はやにいの身体をぐいぐい押す。羞恥がやばい。
「あ…悪い。湊、はやにい。言ってみ」
俺を離してもう一回、と人差し指を立てる。どんだけ呼ばれたいのあんた…、昔たくさん呼んであげたじゃん。
「…はやにい、これでいい?」
と言うと無表情だが雰囲気がぽわっとして嬉しそうだった。長年の付き合いで良くわかるのだ。
なんか、もっと疲れた。
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