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体育祭は体育委員長の神楽坂朔が仕切って準備が始まった。とくに委員長副委員長はどの委員会でも手伝わされて俺はひいひい言ってた。
「神楽坂ぁ、これどこ」
備品の入った箱を持ってくる。疲れやした。これ結構重いんだよ!お前らもまじ持ってみ。
「おお!ありがとな、俺にくれ」
と受け取ってくれた。あれ?なんでそんな軽々かついでんの?
「他にすることある?」
「ん~…、特にはないはず。今日はもう帰っていいぞ?ありがとな」
と少し考えた後にかっと笑う。
「そう?じゃあ帰る…………って言おうと思ったけどそれ色塗り終わってなくない?」
「あ?ああ、まあな。でも俺だけで終わらせられっから」
「手伝うよ」
俺はペンキを棚から取って神楽坂の隣にしゃがむ。
「い、いいのか?」
「まあね、一人でやるより二人のが速く終わるでしょ?」
そう言うと神楽坂もかがんで筆を持った。
「他の生徒は?」
「まだ何人か残って備品の整理と確認をしてくれてる。体育委員はみんな色塗りとか絵が下手だって言って備品確認にまわってくれて柴は救急用の備品確認をしてたな。」
それはそれでどうなんだとも思うけど…。それに柴さんも案外ちゃんとやってんだな~。
「神楽坂は色塗りできるんだ?」
「いやできるってほどじゃないが人並みだな」
と笑った。
「そう言えば借りた本どうだった?」
「ああ!!凄くよかった!!主人公がすっごい健気で可愛いんだ。」
「そーかね??あれ可愛い?」
「ああ、可愛い。さりげなく手伝うとか話聞くとか気遣いできる上にちょっと気だるげな所と、か…あ。」
「?どした?」
「いや、なんでも…ない」
ぱっと顔を背けてぐしゃぐしゃと色を塗り始める。
え?何。めっちゃ気になる。
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