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もう出る競技はないから安心して木陰へ向かった。そりゃもう暑いし眠いし日焼けするから。
俺はいつも通りの場所に腰を下ろそうとしていたのだが、どうやら先客がいたっぽい。
目の下まで髪がある。目は見えないが確実に顔色が悪い。
「あの~大丈夫?」
俺は軽く肩をゆさぶった。
「っん……ぁ、!!!すっすっすみません!!」
そう言って急に立ち上がるから倒れた。
「だ、だいじょぶ…?」
心配になって俺は彼を支える。焦ったようにどこかへ行こうとする彼を止めた。
「顔色悪いっぽいですけど」
「え、い、やお気になさらず!!」
「いやいや保健室行こうよ」
「っ…戻らないと、その…」
その?
「殴られる……」
「はっ?」
素の反応が出てしまう。な、殴られる??
「い、ゃその…いじめ、と言うかい、いじりです!」
「んっと、何年何組?」
「2のC…」
少し戸惑った後に、クラスを言った。
「風紀案件だねー」
すると急に上から大量の水を浴びた。びっくりして上を見上げると何人かの男の子が顔を青くして走り去って行ったのが見えた。
おー……、派手にやるねー…。
「ああああぁぁあぁああぁ!!」
と目下髪男子は叫びながら謝り、俺を持っているハンカチで拭いてくれる。
「大丈夫大丈夫」
と袖を捲って髪を後ろにかきあげる。べつに濡れただけだし。
「すみません、すみませんっ!」
「なんで君が謝るのさ」
と俺は笑うが、本当に申し訳なさそうにする。
「こんなこと俺はざらにあるのでっ…」
「名前って何君?」
「み、宮城智樹です…」
…宮城…?どこかで聞いた事ある名前だなぁ…どこだったか…
「ん〜…?…あっ!君図書委員じゃん、なんだよ水臭いな。言ってくれればいいのに」
「し、知ってたんですか…?」
驚いた様に口を開ける宮城くん。
「全員の顔は見たことないけど名前は把握してるよ。ん~…、ところでだけど今日俺放課後迎えに行っていい?」
「へっ、なんでっ…」
「風紀騒動にさせたくないっぽく見えるけど」
「ま、まあ…」
そう言った宮城くんに俺は笑いかけた。
「俺が解決してあげる」
と自信満々に言うと少し宮城君は考え込み、うなずいた。だって俺委員長だも〜ん、解決くらい屁でもないってね。
「あ、ありがとうございます、委員長…」
「気にしないで勝手にやるだけだから。それまで耐えられる?」
「いつもの事なので大丈夫です」
お、おお…正直それどうなの?
「それもどうかと思うけど…これあげる」
と自分用に持ってきた保冷剤を渡した。ちょっと溶けてる。
「あ、ありがとうございます…」
「ん、じゃあまた放課後ね」
「はっはいっ…!」
休みそびれたけど全身に水浴びて涼しいわ。
宮城智樹君。彼は多分イケメンだ。目が少し見えた。ぱっちり二重。
まあとりあえず助けられる様にしょーじんしないとなー
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