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「宮城君は前髪、あげないの?」
俺の前髪を上にあげてジェスチャーしながら聞く。
「……その、昔虐められて目にハサミ刺されそうになって…、本気ではなかったと思うんですが…、それからちょっと…」
「…ふぅん、大変なんだね。君カッコいいのに」
「かっ!?!!?」
かっこいいと言う言葉に目を見開いて驚く宮城君。イケメン隠すなんてもったいねー。俺だったらひけらかして歩くよ。
「かっ、かっこよくなんて…」
多分顔を赤くしている。初々しくて可愛いね宮城くんは。俺は自分の鞄を漁ってピンをだした。銀色のやつ。
「これあげる、俺が使ったやつだけど」
「へっ!?い、いいんですか…」
2本のヘアピンを宮城くんの前に出せば、宮城くんはそれを受け取った。
「受け取ったってことは前髪あげるって事だね、楽しみ~」
「あっ!!!………でもトラウマ克服できそうな気がします…」
とヘアピンを見つめてふふっと笑う。
「頑張って克服してね。俺明日君の教室に行って顔見に行くからね。」
そう言って俺がニヤッと笑えば宮城くんはえっと少しこまったようなそぶりをする。
「こ、困りますよ、見せ物じゃないですし」
「十分見せ物、自信持ちな」
と背中をバシバシ叩いた。そうすればかあっとまた顔を赤くした。彼は俺より少し背が高い。175とかかな?
「そんじゃまた明日」
「ほ、ホントに見に来るんですか...」
「見に行くに決まってんじゃん。」
寮のエレベーター付近で俺たちは別れた。楽しみだな~。
「雪ーただいま~」
と言ってもいつも通り抱きついてこない。部屋のどこを探してもいない。あれ?
「……?」
先に帰ってって言ったはずなんだけど…、まああの人も予定くらいあるか。先に飯作って待ってよ~っと。
俺は雪の分も含め夕飯を作った。なのだが一向に奴は帰ってこない。スマホを見てると雪から通知がきている。俺は通知をタッチしてその内容を確認する。
「………帰省ぃ?」
『湊へ
母様が婚約者用意したって行ってきたから俺断り含めて帰省してくる。3日くらい居ない。連絡遅れてごめんね、今日作ってくれたご飯は帰ってきたら食べます』
とメールに書かれていた。
なんで俺が飯を作った事を悟ってるんだ。にしても3日かぁ………、まあ大丈夫…でしょ。
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