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「あれっ湊、雪は?」
朝1人で登校して、荷物をいじっていれば光が俺に話しかけて来た。
「帰省したって」
「………寂しいのか!」
なんでそうなる。と思いながら俺は椅子に座った。
「あーあ…推しカプしばらく休止か~」
と残念そうに言う光。推しカプってやめてもらいたいよね本当。勝手にカップリングするなカス。お昼ご飯、俺は光と2人で食べていた。
「ししょー!!!」
そうすれば横の廊下側の窓から俺に話しかけてくる男が1人。
「成実…」
犬。こいつを見てると雪を思い出す。
「それ美味しそうっすね!」
俺の弁当のおかずを指さす。玉子焼きだ。
「はい」
俺は箸にさして成実の口に突っ込んだ。
「美味いっす!さすが!!」
ニコニコしながらもぐもぐと口を動かす成実。光も別の意味でニコニコしていた。
「あれっ今日は荻田先輩いないんすね」
「うん、帰省」
「ライバルが減ったっす!嬉しいかぎりですね!!」
別そんなこと知らんが…
「今日眠くならないのは雪が抱きついて来ないからだなぁ。あいつ子供体温だから…」
「湊きゅん、とかいって抱きしめられたいんでしょ?」
そう言って俺の肩に手を置き馬鹿にした様に笑う光。
「しばくぞ」
俺たちは会話しながら飯を食べ終えた。
「俺ちょっと出てくる」
俺は騒ぐ成実と光を置いて教室を出て、宮城くんの元へ向かった。扉から覗くとちわわたちがニコニコして群がってる。その中心は宮城くん。前髪上げてイケメンだ。
「あっ、如月委員長!」
俺に気がついて宮城くんはちわわたちをすり抜けて俺の元へ来た。
「どうですか、ちゃんと貰ったのつけたんですけど...」
「似合ってるよ」
そう言って笑えばえへへと宮城くんも笑った。うーん、まじでイケメンだなぁ。
「っ、きっ如月様!!!」
……ぅげ。昨日俺が襲った(仮)のやつだ。頬を赤くしているその姿はまるで恋をする乙女(笑)である。
「昨日ぶりだねー」
にっこり笑えば男も
「はっハイ!」
と勢い良くうなずいた。
「お、俺田邊巽っていいます...」
君もイケメンだが他がイケメンすぎて霞んでる。なんか可哀想だ。
「田邊クンか~」
「あ、あの……き、のうの…」
「ん?命令でも欲しいの?」
俺が冗談混じりに言えば
「!!!!!!」
と彼の顔が爆発しそうなほど顔が赤くなる。
「あはー……」
ん、まじかー。そう言われてもすることねーっての…
「じゃあ教室でいいこでお勉強受けてね」
「は、い!!」
こんなのでいいのか。命令でもなんでもない気がするけど。
「じゃ宮城くんまたね」
「あ、はい!」
ちらりとクラスの中に目を向け、俺は面倒になる前に教室を立ち去った。
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