湊くんは案外寂しがり?

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部屋に戻りスマホをいじる。すると急に電話の着信音が鳴った。そこには『駄犬』と書いてある。俺は起き上がって急いでその着信を受けとる。 「も、もしもし?」 久々でなんでか知らないけどちょっと声が上擦る。 『っ......湊、』 雪だ。雪の声だ。 でも少し難点があるとすれば少し疲れてそうな声だと言う事。なんだなんだ、急に。 「どうしたの」 『あいて、が……諦めてっくんな、くてっ』 雑音も聞こえる。どうやら走ってる、ぽい。 『っ湊、来てっ!!!』 とてもいやだ。理由はあげろと言われたら億数個も出て来る。でも雪が帰ってこないのは…、ちょっと寂しい。 「…行く」 『!!!ありがと、言っとく…からっ!!じゃ、ね!』 と切れた。1度雪の家に行ったことがあるのだが母はとても優しいと共に気分屋で父はとてもピュアで雪は大変そう。 俺が家に行ったときうちの父に惚れてたらしい荻田父は俺を見て「そっくりだ!」とか「可愛い!」とか言ってた。母は光と同じ匂いがしたし、にっこにこだった。それで良いのか、荻田母。 その上俺はあの母に女装させられ追いかけ回され父に写真を撮られまくった思い出がある。嫌われるよりはいいのだが、少し…いやだいぶきつかった。 俺は荷物を鞄に積み込みながら考える。 相手の子が可愛い子だったらいいなぁ…と。でもまあ雪の相手ではあるけど。 「ふぅ……」 俺はスマホを手に取り兄に電話をかける。ワンコールよりはやく出た。有り得ないくらいの声量で俺に声をかける兄。 『どうしたの!?!!?』 「あ、うん…俺今日雪の家行くから帰省したってことにしておいてくれない?」 『言うと思ったぁ…俺をおいてっちゃうなんて…!まあ取り敢えず外出届書くよ。生徒会室おいで』 さすが。俺の事をよくわかってるね。嫌いだけどそう言うところは有能だ。 「ありがとう兄ちゃん」 『っ!!!!にっ、う、ぉ...』 俺は兄が叫ぶ前に電話を切った。鞄を持ち忘れ物がないか確認した。あとコンロを確認して部屋に鍵をかけた。 そうして俺は生徒会室へと向かった。 「兄ちゃん」 「湊たん!!!」 にっこにっこの笑顔で抱きついて来た。前のことまだ怒ってるけど、これでチャラでいい。 「はいっ、外出届!警備に渡しといてね?一応3日取っといたから。」 「ありがと」 俺は兄に差し出された外出届けを受けとる。まじで使えるこの人。 「気をつけてね?ちゃんとお守り持った?」 と俺の鞄を見る兄ちゃん。小さい頃から兄に持たされてるお守りだ。なんのご利益があるのか…(GPSが付いています) 「ん、それじゃ行ってきます」 「うん、話は合わせとくから任せてね」 「ありがと」 と俺は笑って生徒会室、もとい学校を出た。
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