あとがき

1/1
前へ
/11ページ
次へ

あとがき

 ここまでメロンパンの衣を読んで頂きありがとうございました。稚拙な表現が目立ちましたが楽しんで頂けたら幸いです。  麦野は世界が食べ物に見える人間で、その力で長く苦しんでいました。両親に捨てられたという恐怖も相まって、自分を好きになれませんでした。  美濃は過去に受けた虐めが原因で食べ物を食べる事が困難になりました。ミキサーは彼の一種の理想なのかもしれません。混ぜれば最初にあった物は分からなくなります。合同性や不透明感をミキサーに感じたのかも知れません。  世界が食べ物に見える麦野と摂食障害になった美濃。両極端な2人に共通するのは、自分を信じてあげられないことです。『隣の芝生は青い』なんて言葉もありますが、周りとの違いに苦しむ様子は皆様にも心当たりがあると思います。  この物語の最後は自分を「最低な人間」といてネガティブな言葉で覆いながらも、そんな自分すら愛するという結論で幕を下ろしました。  僕個人の解釈ですが、これはきっと呪いです。互いが互いを命綱で引っ張っていて、どっちか1人が居なくなれば両方とも落ちるほどにか細い呪いです。でも互いが生きている限り落ちる事はありません。今は2人とも生きる目的があります。私達は2人が落ちない事を祈りながら自分の人生を生きるしかありません。幸せな食卓が何時までも続く事を願いながら。  ここまで物語を紡いで来れたのは間違いなくここまで読んで来てくれた読者の皆様です。そして新作セレクション掲載という身に余る栄誉を貰えたのも皆様のお陰です。  おこがましいお願いですが感想等頂けると、作者は泣いて喜びます。本当に飛び跳ねますよ。  最後になりますがこの物語に付き合って頂き本当にありがとうございました。  2人の幸せを心から願っています。 三谷椛
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加