霊感体質からの卒業

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 そう言われると、そんな気がする。 「アレルギーを抑制する薬も効果的です」  何だか本当に花粉症の治療をしにきたみたいだ。 「霊の対策も対症療法なんですよ」 「そうなんでしょうか」 「ええ。まあ、花粉症の治療と同様、一生効く治療法ではないんですけど、春は特に霊の活動も活発になりますからね。やらないよりは、やっておいた方が」  小向は、問診票を棚から出してテーブルに乗せた。 「あの、なんで隣に霊が集まってしまうんですか? 店員の方が困ってるんですけど」 「それは、先程のあなたがした事と同様の事がここでも行われているからですよ」 「えっ」 「すでに霊に取り憑かれた方もこちらに来るので、その時は仕方なくご神水でお清めを。先ほどのご相談者様が、思ったより強い霊を付けていらしたので大変な騒ぎになりました」  シャツがびしょ濡れな理由が分かった気がした。 「ここで祓われた霊が衝撃でふらふらと隣のカフェに飛んで行ってしまう、と」 「そうなんです。私、祓い屋でも拝み屋でもなく、ただの耳鼻科医なので最低限の事しか出来ないんです」
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