【02】 信用

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そのお弁当を見て、脳裏に浮かんだのは、浮気されているかもしれないという予感だった。 見えるところにあるお弁当を忘れていくなんて変だ。 午前休憩の時間に合わせて、翔也に連絡をしたけど、既読はつかなかった。 嫌な予感が膨れ上がっていく。 私は、電車で3駅分離れた翔也の職場へ向かった。 迷惑かもしれないとも思ったけど、居ても立ってもいられなかった。 「営業部の赤坂翔也の妻です。忘れ物を届けに来たんですけど…」 オフィスの受付でそう伝える。 受付嬢は、申し訳なさそうに 「今日は営業部は休みでして…」 と言った。 心臓が早鐘を打つ。 翔也が言った土曜出勤は、嘘だった。 それを知った途端、めまいがして、足の力が抜け、私はその場に座り込んだ。
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