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信じた私がバカだった。
心配そうに駆け寄って来る受付嬢に「大丈夫です」と「すみません」を繰り返しながら、私は立ち上がって、帰路についた。
帰りの道は、とても長く感じられた。
翔也、私に嘘ついてどこに行ってるんだろう。
誰と会っているんだろう。
私の知らない人と、また遊んでいるのかな。
それとも――梨子の顔が脳裏を過る。
連絡先全部消したって言ってたし、梨子じゃないよね。
梨子からも、謝罪の連絡あったし。
違うよね?
マンションに帰ると、まだ翔也は帰っていなかった。
私は、高校時代からの親友、繭に連絡を入れた。
「翔也、また浮気してるかも」
土曜日だからか、すぐに既読がついて、直後に電話がかかってきた。
繭からの電話だった。
「もしもs…」
「だから再構築なんてやめときゃよかったのに」
開口一番、繭の大声が鼓膜を震わせる。
「ごめ…」
「再構築するかどうか悩んでる時に相談してくれてたら、別れろって言えたのに」
電話の向こうで、繭がため息をつく。
「浮気してるかもって根拠は?」
「実は…」
私は、今日の出来事を話した。
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