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【03】 崩壊
夜、何食わぬ顔で帰って来た翔也を笑顔で出迎えた。
妙に翔也は機嫌がよくて、浮気だろうなと女のカンが囁く。
私が浮気を疑っていることに気づく素振りも、変に取り繕う様子もない。
バレているなんて、微塵も考えていないようだった。
それは、スマホのセキュリティにも表れていて、翔也のスマホにロックはかかっていなかった。
「…不用心」
眠っている翔也を寝室に残し、彼のスマホを片手に、私はリビングのソファに腰かける。
まず真っ先に、メッセージアプリを開く。
「今日楽しかった!ありがとうね、翔くん」
「めっちゃ好き!」
梨子からのメッセージで、やり取りが終わっている。
前後のやり取りから、翔也が今日会っていたのは、梨子だということがわかった。
関係、切れてないじゃん。
やり取りは、梨子と別れたと言っていた3ヶ月前からずっと続いていた。
吐き気がこみあげてくる。
連絡先を消したと言っていたのさえ、嘘だったなんて。
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