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ずっと続いていたやり取り。
SNSにアップされたツーショット。
押さえてくれと言わんばかりの証拠を無心で写真に収める。
誠実なフリして、裏ではこんなことしてたんだ。
最低。
信じ込んでいた私を、笑ってたのかな――
気持ちを踏みにじられたようで、悔しくて、涙が止まらなかった。
写真を撮りながら、私は繭に言われたことを思い返す。
今回、翔也の浮気相手が梨子でも、違っても、結婚前提の同棲をしているから両親にも話をしなきゃ――か。
私にとっては、とてもハードルの高いことだった。
両親とは、社会人になって実家を出てからも仲がいい。どんな話でもできる。
でも、この話だけはできない。
せっかく、お母さんが再婚生活を幸せに送っているのに。
その連れ子が、私の婚約者と浮気してたなんて知ったら、お母さんが自分を責めてしまいそうで怖い。
私は、サイドテーブルに置かれた卓上カレンダーを眺めた。
来月の頭の日付のところに、“両家顔合わせ”と書いてある。
言いたくなくても、言わなくちゃいけないんだろうな。
言いたくないなぁ。
悪い夢ならいいのに。
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