【01】 発覚と選択

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梨子の言葉に私はもちろんだけど、翔也も驚いたようで、「えっ」と素っ頓狂な声を上げる。 何であなたが驚くの。と私は翔也に冷ややかな眼差しを向けた。 「私の方が先に付き合っていて、婚約もしてるんだけど」 「でも、後で出会った私を好いてくれてるってことは、お姉ちゃんより私の方が好きってことだよね」 梨子はそう言って、翔也の腕に抱きつく。 嫌なものを見せられて、私は目を逸らした。 「違う!俺は…」 「声、大きい。ここお店だから」 梨子を振り払わない翔也に苛立って、私は冷たい声で遮る。 ――ああ、私はまだどこかで期待してるんだ。 翔也は私にしか本気じゃないって。これはただの過ちだって。 「俺は、彩香(さやか)のことが本気で好きなんだ。…梨子とは遊びなんだ」 「酷い!」 遊びだと言われて、梨子が目に涙を浮かべる。 「彩香、ごめん。軽い気持ちで遊びに走ってしまって。もうしない。だから、許して」 翔也が、テーブルに額をつけるほど頭を下げた。 その隣で梨子が、「別れたくない」と繰り返し言う。
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