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「私とどうするかの前に、まずは梨子との話を2人でケリつけてよ。別れるのか付き合い続けるのか、梨子と話し合いして」
私は、言い残して席を立つ。
つられて翔也も立ち上がった。
「彩香、どこに――」
「婚約者の浮気だけでもしんどいのに、相手は未成年の、しかも私の妹。それ目の当たりにして心ズタボロなの。ちょっとそっとしといて」
翔也の言葉を遮って、私は早口で言うと、席にお金を置いてカフェを出た。
正直、2人きりにしておくのは嫌だったけど、あの空間に居続けることの方がしんどかった。
婚約者の浮気も、その浮気相手が姉妹っていうのも、ドラマの中だけの話だと思っていた。
まさかそんな話が、私の身に起こるなんて。
もっと強かに、平然と話ができると思っていたけど、私には無理だった。
実際2人を目の当たりにしたら、過呼吸でも起こしそうなほど胸が苦しくて、ツラくて涙が出そうだった。
胸が張り裂けるって、こういう気持ちなんだと思った。
SNSのデート写真を、どこかで合成だと信じたかった気持ちが粉々に打ち砕かれて、悲しかった。
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