【02】 信用

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【02】 信用

翔也と一緒に暮らす賃貸マンションが決まったころに、梨子から連絡があった。 ――お姉ちゃんの婚約者って知らなくて、嫌な思いさせてごめんなさい。 知らなかったなら、しょうがないよね。 既婚者の不倫だって、不倫相手が“既婚者と知らなかった”ら、責任軽くなるっていうし。 知ってて浮気したんじゃなくてよかった。 そんなことを考えながら、私は翔也と同棲するために荷造りを進めた。 まぁ、知ってて浮気されるほどの恨みを買ってるとは思えないし。 ずっと根に持ってても仕方ない。 暫くは、梨子と仲良くできる自信ないけど…。 私と梨子は、姉妹だけど血の繋がりはない。 私は母子家庭、梨子は父子家庭で育ってきて、両親の再婚を機に姉妹になった。 年の差が6つもあるだけあって、喧嘩らしい喧嘩はしたことがない。 親が再婚した、私が15歳の時には、梨子はまだ小学生だった。 だから、それはそれは可愛がって甘やかす姉だったと思う。 新しいお父さんも、優しくて、いわゆる子煩悩で、私と梨子を分け隔てなく可愛がってくれる人だった。 仲のいい、家族だったと思うんだけどなぁ。
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