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これからは、結婚して梨子と距離ができてしまうけれど、関係を修復していけたらいいな。
◆◆◆
同棲を始めてからの翔也は、とても誠実だった。
誠意を示す、と言った言葉通り、翔也の思う“誠実”な行動を取ってくれた。
家事は分担してくれて、休日は一緒に料理をしてくれる。
仕事の帰宅時は、帰ってくる前に連絡をくれた。
仕事に行く前も、帰宅予定時間を教えてくれて、浮気を疑う時間はだんだん減っていった。
休憩中には電話を掛けて来たりもして、浮気していないよと安心させてくれた。
そんな生活が、3ヶ月続いたころ、久しぶりに翔也が「明日、土曜出勤なんだ」と言った。
土曜出勤という単語に、心臓が締め付けられる。
「それって――」
「浮気とかじゃないよ。今繁忙期で、どうしても皆出勤しなきゃで。…明日だけだから」
信じていいのかな。
……信じてみよう。
「わかった」
少し不安だったけど、最近の翔也の行動を見ていて、大丈夫だと思った。
そして、土曜出勤の翔也が、少しでも頑張れるようにと、私は早起きしてお弁当を用意した。
朝早起きをしたから、2度寝して起きると、お弁当はキッチンに置きっぱなしだった。
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