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俺の入会届を預かった副会長の桜さんは、職員室にそれを届けに行った。生徒会室を出ていく際に、扉の前で手をふりながらヘニャッと笑いかけてくれた。可愛い。恋していいですか。
残された会長の珠樹さん。『さて、』とつぶやきながら椅子を立つ。
「今日はこれでお開きね。これから桜と出掛けなきゃいけないの。いつもだったら放課後はずっと私と桜がいるから、いつでも生徒会室に遊びに来てちょうだい。――じゃ、またね」
なんだ、もう終わりか。愉しい時間ほど早く過ぎるものだな。出来ればもっと話でもして、そのまま日が暮れて真っ暗になって、『危ないから俺が送りますよ』的な展開に持っていきたかったんだけど。
まあ校務目的とはいえ、珠樹さんと桜さんの連絡先はゲットできたからな。収穫としては充分だろう。
うのきちゃん、そしてヒョロガリくんが席を立つ。この二人とは全然違うであろう充実感を胸に、俺も筆記用具をまとめて生徒会室を出ようと椅子から腰を浮かせた。
「矢口くん」
しかし、チャンスタイムはまだ終わっていなかった。会長の澄んだ声が、俺の名前を確かに呼んだ。
「君だけちょっと残って」
「え、俺だけスか」
「そう。君だけ」
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