第1章 放課後、熱く求められて。

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 生徒会メンバー5人と、知らない怖い人2人。異様なメンバー7人の中心に、珠樹さんが立った。仰々しく咳払いをした後、何やら訓示を述べ始める。俺には何の説明もないままに、謎のミーティングが始まった。 「えー、今日はわざわざ集まっていただいて、本当にありがとう」 「あの」 「記念すべき今年度の開幕戦、地元多摩川の河川敷で迎えられるのが嬉しいです」 「ここは多摩川のどこですか」 「うーちゃん、古志(こし)くんと矢口くんまで呼んでくれてありがとね。うーちゃんのおかげで、ギリギリだけど試合ができる人数になりました」 「俺は生徒会に誘われただけなんですけど」 「試合は8号面でやります。緑地の真ん中の方だね」 「緑地? 多摩川にはいっぱいあるでしょ? いまどの緑地に居るんです?」 「あと2人遅れてるけど、試合開始には間に合うから安心してね」 「あと2人? どんな人ですか? まさか怖い人じゃないですよね?」 「じゃあ、しゅっぱーつ。開始まで時間あるから、のんびり行きましょう」  とうとう珠樹さんは、俺の質問に一つも応えることなくミーティングを締めくくった。『こっちから行くと近いわよ~』って桜さんが集団を引率し始めて、それにうのきちゃんと、古志とかいうヒョロガリくんがついていく。 「た、た、た、珠樹さん!」  さらに引き続いて歩き出そうとする珠樹さんの肩を、俺はむんずと掴んだ。何の情報もないまま事態だけ動いていく恐怖に、もう耐えることが出来なかった。
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