第18話 あなたを抱きしめて、そして春を待って。

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 何よりも嬉しい一方だけど……一応、試合日を迎える前にふたりの意思を直接聞いておくことになった。あんな目に遭った後の草野球だ。本当に大丈夫か、無理をしてないかの確認だ。うのきちゃん、ヒョロガリくんともすぐに快諾。生徒会行事である三送会の直後に生徒会室に集まることになった。  三送会は俺と雪と蓮沼くんの3人でなんとかした。去年以上に厳密にタイムスケジュールを管理して時間通りに終わらせた。マッハで撤収作業を終わらせ、ダッシュで生徒会室に向かう。  生徒会室の引き戸をズドドドドドガッシャーンと開けると……いつもの席に、うのきちゃんとヒョロガリくんが座ってた。もうそれだけでも感動しちゃってウルルと来てしまった。先に雪が泣いてくれて、『まだ早えって』とツッコミ役に回れたからなんとか堪えられた。  来客用の椅子に雅さんがふんぞり返り、佑蒲さんが背筋を伸ばして座っている。桜さんは雅さんと佑蒲さんの間に立って控える。珠樹さんは適当な古紙に『重要会議中 入室はご遠慮ください』と書いて、引き戸の外側にベチーンと貼った。先日もそうしとけば、蓮沼くんのスマホがバキバキになることは無かったのにね。  俺は長机のお誕生日席(せいとかいちょうのせき)へ、雪がチーンと鼻をかみながらうのきちゃんの向かいに座る。蓮沼くんは『失礼します』って声を掛け、ヒョロガリくんの向かいに座った。
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