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「多大なるご心配をおかけしましたし、これからもご迷惑をおかけするかもしれませんが……もう一度、チームに戻っても、よろしいでしょうか」
そんなの、ハッキリ言って愚問だった。こっちはずっと待ってたんだし、そもそもチームの輪から外した覚えもないし。必ず戻ってくるって知ってた。絶対草野球をやりに来るって、分かってたんだから。
それでも、涙って出るもんだな。泣いてる場合じゃないのにな。せっかく二人が戻ってきたんだから、お祝いしないといけないのに。
気付いたら桜さんが駆けだしていた。珠樹さんが机を飛び越えていた。野球ハイエナの二人がほぼ同時にうのきちゃんのもとに到達し、二人で抱きしめてた。
佑蒲さんと雅さんは壁の方に向いて顔を隠してた。けど肩は震えてるわ声が漏れてるわでバレバレ。ヒョロガリくんがトコトコッと歩み寄って、ティッシュを差し出していた。
泣き止んだはずの雪は再び鼻水垂れ流しながら泣いてた。すんごいブッサイクだった。
蓮沼くんは尻ポケットからハンカチ引っ張り出したら一緒に入ってたスマホも出てきちゃった。スマホだけ床に落ちた。なんか破片が飛んでた。
生徒会室がこんなに賑やかなのも久しぶりだった。もう独りで待たなくても良いんだなって考えたら、身体の力が一気に抜けた。あんな寂しい思いは二度とゴメンだって思いながら、俺はブレザーの袖で目頭をゴシゴシ拭った。
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