第18話 あなたを抱きしめて、そして春を待って。

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※  3月最初の土曜日。朝6時に目が覚めてしまった。朝ごはん食べて快便をひり出して朝シャンまで浴びて、珠樹さんたちが襲来する頃には準備万端だった。さぞかし褒めてくれるんだろうなって思ったら、全員から『出来るなら最初からやれ』とキレられた。なぁぜなぁぜ?  悲しみと釈然としない気持ちと母さんからのお小遣い(東京オリンピック記念500円硬貨×4枚)を胸に、佑蒲さんの車に乗り込む。いざ多摩川河川敷……とは行かない。車はいったん逆方向に走る。  ちょっと行くと、急に住宅街が途切れ、人の背丈ほどもある高い塀が見えてくる。塀の奥には木々も立ち並び、それより奥は外から見えないようになっている。それが数十メートルも続いてる。この辺りで知らない人はいない大豪邸。  塀を越えて曲がり角に達し、豪邸に沿って曲がる。頑丈で豪華な扉が見えてくる。その前に――うのきちゃんとヒョロガリくんが立っている。
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