第19話 想いだけでは、どうにもならなくて。

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 あっヤバい。土曜日に3試合やった翌日にナイター放り込もうとしてる。桜さんも『そうね〜』とか言ってる。ヤダヤダ。絶対ヤダ。 「えーっと、私と桜と渡もいるから、あと6人か……若い人を集めた方がいいわね。確か日曜はインフィニティとスーパーノヴァは試合してないはず」  ほら、ナチュラルに俺が人数入ってるもん。とうとう了承すら取らなくなったもん。目の前で床の汗染みとかプロテイン染みとか拭いてるのに声すらかけてくれないもん。  床の掃除を中断、雑巾片手に『困ります!!お客様!!困ります!!あーっ!!困ります!!お客様!!』と抗議してみる。しかし、野球ハイエナどもは我関せず。『おっ、原田アンビシャスも試合無いじゃん』『私は弟たちに聞いてみるわね〜』などと話し合いながら、次々と連絡を取っていく。 「悪いな、マジ助かる。とりあえずチームの代表にはそう言っとくから」  雅さんは道具置き場からトレーニングベルトを持ち出していた。凹ませた腹にきつく巻き付ける。息を吸って腹圧を確認してから、吐いた息で『死の宣告』を放った。 「じゃ、日曜は16時くらいに渡の家に集合な」  せっかく綺麗になった床に、俺の涙で染みができた。
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