第19話 想いだけでは、どうにもならなくて。

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 初詣の発祥と言われる川崎大師。その隣のだだっ広い土地が大師公園だ。どんくらい広いかって言うと、公園の土地だけで『大師公園』って町が成立するくらい。ちなみに家がないから人口0人ってなってるんだけど、ベンチとかトイレの軒下を見ると住人が……おっと、これ以上いけない。  その大師公園のメイン施設が野球場。ナイター設備あり、観客席あり。BSOだって電灯で表示できる。川崎市内なら等々力(とどろき)球場に次ぐ立派な施設を持ってる。でも得点板は手書きなのに、たまにチョークが入ってなかったりする。さすが川崎市、痒いところに手が届かない。  蓮沼くん到着の一報を受け、すぐに球場へ。桜さんの口の端にはきな粉が付いてるし、珠樹さんに至ってはまだモッチャモッチャ食っている。実は人の皮を被っただけの草野球モンスター(まもの)だから、人間界のマナーはあんまり知らないんじゃないかと疑ってみる。  蓮沼くんは球場の脇の芝生に座ってた。お行儀よくくず餅を食ってた。試しに『はい、お土産』って言いながらくず餅3人前渡してみた。顔が引き攣ってた。佑蒲さんがちっちゃ〜い声で『スマン』って言ってた。
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