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町田さんも容赦ないフルスイングで弾き返したけど、これは飛んだところが悪かった。センターフライ。ようやくツーアウトとなったところで、俺の打席を迎えた。
俺は珠樹さんと桜さんにチラッと視線を送った。もうこれだけ打ち込めば充分だ、ここでタオルを投げてやった方がいいのでは……って思ったんだ。
ところが、背後の珠樹さんと桜さんは打つ気満々。打撃手袋もしっかり装着し、眼光らんらんで打席を待ってらっしゃった。
バットをブンブンと振り回す珠樹さん。俺の視線に気付いて、ひとこと。
「わかってんでしょうね」
あっ、ダメだ。凡退なんかしたらミンチ肉にされちゃう。ヤダヤダ。まだ誰のオッパイも揉んでないのに。
命には代えられねえ。打つしかないか。佑蒲さん、ごめんね……せめて初球を打つからね。
ところが、打席に入って土を均してたら……キャッチャーの雅さんからひとこと。
「わかってんだろうな」
あっ、詰んだ。打っても打たなくてもミンチ肉になる運命だったみたいだ。南無三。
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