週末、多摩川で逢いましょう。

第１９話 想いだけでは、どうにもならなくて。

　どっちにミンチ肉にされる方が安らかに眠れるかを考えた末に、ホームランを打っておいた。センターバックスクリーンに直撃させて、グラウンドに跳ね返らせる。ボールの回収が楽なところに打ち込んだ。

　スタコラとベース一周してそそくさと帰ろうとしたけど、ホームインしたら雅さんにケツを蹴られた。珠樹さんには『ホームランまで打てって誰が言ったのよ』、桜さんには『ランナー居なくなっちゃったじゃないの～』と言われた。うーん、四面楚歌。

　この後、珠樹さんは容赦なくセンター前ヒットを打ち、桜さんは遠慮なく左中間ツーベースを放った。蓮沼くんが空気を読んでセカンドゴロを転がしてようやくチェンジになったものの、６点が入るビッグイニングになってしまった。

　めった打ちされ、妹にすらヒットを打たれ……佑蒲さん復帰のマウンドは、あまりにもほろ苦い展開となった。マウンドをスゴスゴと降りるその背中があまりにも寂しい。これぞ令和枯れすすきってヤツですか。

　反撃したい『.Echo97』だったけど……ぶきっちょ連合軍の先発投手・井川さんの前に、手も足も出ない。三者三振、たった１１球で１回裏が終わってしまった。もともと練習不足で球も見えてないのに、本格派サウスポーの井川さんでは相手が厳しすぎる。