第19話 想いだけでは、どうにもならなくて。

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 ひとしきり説教を終えた野球ハイエナども。少しは静かになると思ったら、珠樹さんが大アクビをかました。この人の辞書に『淑やか』という言葉はないらしい。  時刻はすっかり22時前。俺と蓮沼くんはあと11時間もしたら登校である。なんてこったい。  月曜からの日常生活に支障をきたしそうになる時点で、俺たちもだいぶ無理してるよな……なんて思った。でも黙っておいた。そんなことを口走ったら野球ハイエナどもに八つ裂きにされちゃうもんな。  ようやく帰宅できたのは22時くらい。とりあえず、お土産のくず餅を冷蔵庫に入れようとした。そしたらなぜか、すでに同じ包みが大量に入ってた。  机の上には、母さんの書き置き。 『用事で大師に行った。くず餅買っといた。ありがたく食え』。  俺は膝から崩れ落ちた。
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