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第20話 あなたと、未来を思い描いて。
クラスメイトが『MARCH』って連呼してた。もう5月でしょって言ったら、MARCHとは高偏差値帯の大学の総称のことだった。明知、青山学園、立光、忠葉、法英の頭文字を取ったんだってさ。うまいこと考えるヤツがいるもんだな。
その話をしたら、『アンタ、そんなことも知らないで生きてきたの!? 高校3年生の5月なのに!?』と珠樹さんにこっぴどく叱られた。珠樹さんに叱られるのは慣れてるけど、隣にいた雅さんだけがサッと目を逸らしたことでヤバさを知った。3年8組出身、どうやって高校受験を潜り抜けたか分からない男と同じレベルのようだ。
そう、3年生の5月なのだ。そろそろ最終の進路希望調査票を学校に出さなきゃいけない。締切まであと1週間である。
前はざっくばらんな希望で良かったけど、今回は具体的に志望する学校名とか学科まで書く必要がある。この希望調査をもって、学校の支援も本格的かつ個別に合わせたものに変わっていくからだ。
そして、俺は……何も決まってない。
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