第20話 あなたと、未来を思い描いて。

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「あー、どうすっかなマジで……」  放課後の生徒会室に響く俺のため息。漏らしたくなくても漏れちゃうのだ。今までそれとなくやり過ごしてた問題から、いよいよ逃げ切れなくなってしまった。これで愉快に振る舞える方がおかしい話と言える。 「なにか将来なりたいものとか無いの? 具体的じゃなくても、大学でやりたいこととかさ」  生徒会室の半分を占める物置スペースの整頓をしていた雪が戻ってきた。『そろそろ生徒会役員も交代だから、綺麗にして引き渡したい』って言ってたけど、引退はまだまだ先の9月なんだよなぁ。そして物置スペースの半分が珠樹さんたちが職権濫用して置いていった草野球道具たちだったので、整頓を諦めたらしい。  雪、それは愚問だぜ。俺が大学でやりたいことなんて一つしかねえに決まってるだろ。 「モテたい。ハーレム。酒池肉林」 「まだそんなこと言ってる。将来の夢も語れない具体性のない人なんか、異性にも好かれないんだからね」  うーん。雪よ。草野球ハイエナとつるむようになって、コメントが鋭くなったよな。あまり強い言葉を使うなよ。俺が泣き叫ぶぞ。
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