第20話 あなたと、未来を思い描いて。

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 チクチク言葉に刺し貫かれ、ペチャ……と力なく突っ伏す。机の冷たさにこの世の無常さを感じていると、頭上からうのきちゃんと雪の会話が降ってきた。 「雪ちゃんはどうするの?」 「美桜大学の健康福祉学部が第一志望。第二志望は葉蔭横浜大学のスポーツ教育学部にしようって思ってる」 「スポーツ観るの好きだもんね。より視点が広がって、もっと面白くなりそう」 「うのきちゃんは……すごいよね。アメリカの大学だもんね。入試はいつ?」 「みんなとそんなに変わらない時期だよ。準備期間が長いし、入学も秋だけど……でも卒業したら早めに向こうに行って、生活に慣れておくことにしたよ」 「そっか。寂しくなるなぁ」 「お手紙も送るし、ネットでも繋がれるよ。それに大学を出たら必ず日本に戻るつもりだから、それまで待っててくれたら嬉しいな」  えー……うのきちゃんはともかく、雪ですらそこまで考えてんのか。そんな素振り(そぶり)見せてなかったじゃん。平日は毎朝俺の家まで迎えに来て、書道部で習字しながらスポーツショップでバイトして、生徒会して、サイクリングして、たま〜に草野球来てたじゃん。いつ将来のことなんか考えてたんだよ。  雪だけじゃねえよ。みんな普段はおちゃらけておいて、キチっと進路のこと考えててさ。同級生とかだけじゃなくて、珠樹さんとか桜さんも高校時代から草野球ざんまいと見せかけてキッチリ大学に……あ、そう言えば青山学園大学じゃん。MARCHじゃん。すげえな。
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