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まあ、まだ友達にビックリされるくらいなら良い方だ。
俺が進路を決めてないことで困ってしまう人たちも居ると知ったところで、いっそうマズい事態なんだなって痛感した。
「矢口くぅん。高校卒業したらどうする? ジムのお仕事、続けられそう?」
バイト先に出勤するや否や、野太い声の店長がムキムキマッチョな身体をクネクネさせながら歩み寄ってきた。うおおヤベエのが来たと思って一瞬身構えたけど、目つきと話が真剣そうだったので思い直す。
そっか。進路次第で、ここのバイトを辞めなきゃいけない可能性もあるのか。そして俺の進退しだいで、新しいバイトを雇わなきゃいけないんだもんな。そういう意味でも、早い段階から将来について考えておかなきゃいけなかったんだ。
でも残念ながら、ここで店長に話せるような話はない。そしてここでウソをつく理由もメリットも、ひとつもない。
「すみません……実は、何にも決まってないんです」
「あらぁ。じゃあ今のうちにツバ付けておこうかしら、チュッチュ」
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