第20話 あなたと、未来を思い描いて。

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「まだ、何も決まってないですよ……いちおう調べて見てるだけです」 「いやいや、わざわざ聞きに来るってことは相当やる気になってんでしょ。どういう風の吹き回し?」 「バイトしてるジムの店長に『やらないか』と言われまして。このまま社員を目指してほしいと」 「大型ジムでトレーナーってことは、スタジオレッスンとかもあるのかな? あと、パーソナルトレーニングもやるってことだよね」 「そういう風に聞いてます」 「わぁ、凄いね。うちの野球教室に通う子に紹介しちゃおうかな」 「お願いだから、まず俺がトレーナーになってからにしてくださいね」 「ジムの店長さんには悪いけど、ウチで雇っちゃうかもしれないね。就活の時は真っ先にウチに声かけてよね」 「まだ進学先も決まってないですけどね」  ドウドウ。ドウドウドウ。紀田さんをなだめながら、とりあえずパンツを履く。いつまでも用もなく素っ裸でいるのは良くないっていう倫理観くらいはいちおう持ち合わせている。真面目な話をしたい時に股間がブラブラしてたら落ち着かないってのもあるけど。  それにしても、なんで俺の周りには動物ばかりいるんだ。小動物(うのきちゃん)柴犬(いのうさん)たちときて、お次は暴れ馬か。いつから俺は動物園の飼育員になったんだ。  ……と思ったら、話題はもっとも手のかかる野球ハイエナの話題になった。
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