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何の役にも立たないって思ってた野球の知識だけど……色んな人が必要としてくれたなぁ。そして今となっては、初めて会う草野球人にも『ずっとお話してみたかったんです』って言われるようになった。どうやら俺が思ってる以上にずっと、俺の力を必要としている人は多いらしい。
指導者かぁ。
指導者ねぇ。
指導者かぁ……。
考えてたらクシャミが出た。そういや俺、パンツ一丁だった。
早く風呂に入らないと風邪引いちゃうな。もっかいパンツ脱いで、風呂場に行こう。お湯が冷めてなきゃいいけど。
「おいクソ息子。さっきデケえ音したけど大丈夫か」
突然、ノックもなしに部屋のドアが開いた。扉の向こうには、なぜかウイスキーの瓶を片手に持ったままのShe is my Mother.
全裸の息子と、酔っぱらいの母親。数秒間の静寂、異常な光景。
母さんは俺の頭の上からつま先の上まで、じっくり眺めてた。最後に俺の股間のあたりをジーッと見据えた後、一言吐き捨てて去っていく。
「お粗末さまでした」
再び独りになった部屋で、俺は声を上げて泣いた。
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