第20話 あなたと、未来を思い描いて。

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「おら、キリキリ歩けバカ息子。中華食うぞ、中華」  母さんはどんどん歩いて先に校門を出てしまう。お腹空きすぎでしょ……と思いつつ、小走りで後を追う。  でも考えてみりゃ、母さんと外食なんて久しぶりだな。そもそも今までだって、片手で数えられるくらいだと思う。俺がずっと野球やってたから……その間、母さんは一人で呑んだくれてばっかりだった。やっぱ、家族でメシを食うって大事だよな。  しみじみ思ったのも束の間だった。母さんが入ったのは、ビールケースに座布団敷いただけの椅子と、机代わりのドラム缶が置いてあるだけの店。場末の中華屋……というより大衆居酒屋、とても高校の制服を着て入っていい場所じゃない。  そして席に着くなり、食事じゃなくて『ハイボールメガジョッキ』と注文する母さん。俺は一瞬にして真顔になった。
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