第21話 あの娘も、この娘も、俺のもので。

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 正直に言うと、別にキャンパスなんてどこでも同じだろって思ってた。土手高だって事前の説明会も何も行かず、受験の時に初めて足を踏み入れた。オープンキャンパスくらい行かなくたって平気だろうとタカを括ってた。  でもそれを言ったら、ヒョロガリくんが背後からビシシシシシとチョップを入れてきた。ヒョロガリくん的には、高校進学と大学進学を同列に考えてるのが信じられなかったらしい。  あんまり必死こいてヒョロガリくんがチョップするものだから、仕方なくその場でオープンキャンパスの参加申し込みをした。ヒョロガリくんは満足げに額の汗を拭っていた。楽しそうで何より。  いざ行くと決めてみると、なかなか入れない大学の構内に入れるってのはちょっと魅力を感じた。教室綺麗かなとか、学食美味しいかなとか、可愛い女の子いるかなとか、なんとなくワクワクしてるのは否定できない。  それに、本当に久しぶり、何ヶ月かぶりに一人で行動できる休日でもある。終わったらどこ行こっかな。なに食べよっかな。とにかく、今日はのんびり楽しんでやろ〜って思いながら、東急多摩川線にゴトゴト揺られて蒲田に向かった。
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