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俺の名前は矢口 渡。この春、めでたく私立・多摩川清流館高校に入学した15歳だ。
親父いわく、俺が生まれて初めて手にしたおもちゃが野球ボールだったそうだ。そのくらい幼いころから野球に打ち込んできた。
幸いにも才能に恵まれたらしい。小学3年から硬式野球を始め、6年生の時に全国制覇。中学時代も、3年生の時に全国大会ベスト8。いずれのチームでも4番でエースでキャプテンとして活躍してきた。グラウンドを歩けば『あっ、矢口だ』と言われるくらいには有名な存在だった。
高校進学に際しては、全国そこらじゅうの野球強豪校からスカウトが来た。しかし俺は、あえてその誘いを全部蹴った。いかなる推薦も受けずに一般入試を利用して、地元の多摩川清流館に進んだ。
俺が華の高校生活で思い描くのは、もちろん――
甲子園より、酒池肉林。女子にモテモテ☆ハーレムランドである。
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