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「どうすればいいのかな?分かんないけど、こうやって手を繋げば私の力つかえるかな?」
「いいのか、…悪魔に手を貸したと知れれば、お前は…」
弱気なアランなんてらしくない。
片手を離して、彼の通った鼻筋を指で挟めばアランはビクッと肩を揺らした。
「神より、家族より…私はアランのために持てる力を使いたい。」
「…、」
「悪魔とか、天使とか…関係ないの。
ただ、愛したあなたに。
優しくていつでもそばにいてくれた…辛い時に救ってくれた、支えてくれた…
そんな、アランに…私は生きてて欲しい。」
ふたり、見つめ合う。
溶けてしまいそうなほど甘く切ない瞳は、彼から向けられる【愛】であると…信じたい。
いや、勘違いだとしても…今くらい…どうか信じさせて欲しい。
「紗羅…ありがとう。」
「…っ、…」
アランが小さく微笑んだのを合図に、彼と私の手からゴゴゴ…と音を立てて光と闇の渦が立ち上る。
ああ、本当の本当に…お別れ、だ。
アニメでしか見たことがない、こんなファンタジーな状況だというのに…不思議と、先ほどまでの混乱はなかった。
渦から発生する強い風に髪を揺らしながら、握りしめた手に力を入れる。
「さあ、願って…アラン。」
「ああ、」
私の知らぬ間に、一度殺されたアラン。
そして、今は…私の目の前でいなくなろうとしている。
どちらが残酷かは分からない。
しかし、どんなに辛くても…彼を守れないのは…もう嫌だ。
一人で傷付かせるのは…嫌なんだ。
だから、最後の時まで…君の手を取って、私は君の幸せを願う。
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