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01_不埒な悪魔、降臨
天使は神に仕える善の象徴であり、悪魔はそれとは相反する…悪の象徴である。
その意識がこの身に焼きついたのはいつの時からだったか。
ゼロの状態で生まれ落ちたはずの私たちは、
当たり前のこととして悪魔は悪で、ヒーローアニメの悪役は悪い人。
…そう理解するようになった。
じゃあ、悪魔からみたら?悪役から見たら?
…神、天使、ヒーロー…、人間が崇めるそれらは…彼らからとってみれば“悪者”なんじゃないか。
5歳の頃に封印したはずのこの疑問を、腹いせのように再び考えるようになったのは、昨日の出来事が原因であることは明らかであった。
そして、…
「…っ、だ、誰よ…あんた」
「…ああ?」
お仕置き部屋に入れられ、泣きながら眠りについたはずの私が、
翌日、こうして見知らぬ男を抱いて目を覚ましたこの現状も…
昨日のことが関係しているのだろうか。
起き抜けの私の叫声に目を擦りながら気だるそうにベッドから起き上がった彼は、薄く開けた目を擦り、それから…フッと微笑む。
「…おはよう、紗羅」
「…」
私の名を呼ぶ姿は…ハッとするほどに見目麗しい。
…が、しかし。
渦を巻いたツノが生えたその姿は…
まさに聖書に描かれた【悪魔】そのものだった。
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